介護が必要な高齢者を支える施設や事業所は、全国にどれだけあり、どう変わってきたのか。そして、そこで働く人は足りているのか。

アイメトリカは、厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」の最新版(令和6年10月1日時点、2025年12月19日公表)と過去10年分の同調査から、介護施設・事業所の数を集計しました。介護保険のサービスだけでなく、有料老人ホームやサービス付き高齢者向け住宅(サ高住)など、介護保険外の高齢者向けの住まいの推移もあわせて整理しています。さらに、要介護認定者数と介護職員数の推移と比べ、「施設や住まいはあっても、働く人が足りない」という介護の人手不足・職員不足の実態を明らかにします。

調査の方法

  • 施設・事業所数:厚生労働省「介護サービス施設・事業所調査」各年の概況(表1 施設・事業所数、基本票)2014年〜2024年。各年10月1日時点で活動中の施設・事業所
  • 都道府県別の数・施設系の詳細:同調査 令和6年の統計表(e-Stat 公開のCSV)を機械的に集計
  • 介護職員数:厚生労働省「介護職員数の推移」(令和6年分、2025年12月19日公表)
  • 要介護(要支援)認定者数:厚生労働省「介護保険事業状況報告(暫定)」2019年10月末・2024年10月末
  • 有料老人ホーム・軽費老人ホーム・養護老人ホーム:厚生労働省「社会福祉施設等調査」各年の概況(各年10月1日時点、基本票)
  • サービス付き高齢者向け住宅:国土交通省・厚生労働省「サービス付き高齢者向け住宅情報提供システム」登録状況(各年10月末時点)
  • 有料老人ホームの種類別の内訳:厚生労働省老健局の調査結果(令和6年6月30日時点、有料老人ホームにおける望ましいサービス提供のあり方に関する検討会 参考資料)
この記事の「施設・事業所数」について

統計では、複数のサービスを提供している事業所は、サービスごとに数えています(延べ数)。たとえば、デイサービスとショートステイを併設している事業所は2件と数えます。また、2016年に小規模なデイサービスが「地域密着型通所介護」に移ったため、デイサービスは両方を合算して比較しています。介護医療院は2018年に創設されたサービスです。

高齢者向けの入居系の合計は、建物の種類ごとに数えています。介護付き有料老人ホームなどの「特定施設」は、建物としては有料老人ホーム・サ高住・軽費老人ホームなどに含まれるため、二重に数えないよう合計には加えていません。サ高住は登録制度の棟数です。

令和6年調査の施設・事業所数(基本票)以外の数値(定員・在所者数・従事者数など)は、厚生労働省による推計値です。介護職員数は2018年度に推計方法が変わっているため、職員数の比較は2019年以降で行っています。

調査結果

結果1:全国の介護施設・事業所は、延べ32.0万

2024年10月1日時点で、介護保険のサービスを提供する施設・事業所は、全35種類の延べ数で319,610ありました。何を数えるかによって、規模は次のように変わります(最後の行は介護保険外の住まいを含む。結果2)。

数え方施設・事業所数
(2024年)
介護保険の全サービス介護予防サービス・介護予防支援を含む全35種類319,610
介護サービス(全23種類)要支援の方向けの介護予防サービス等を除く。本記事の結果3〜6の対象226,385
入所・入居系(介護保険のサービス)介護保険施設3種類・地域密着型特養・特定施設(地域密着型を含む)・グループホーム36,982
高齢者向けの入居系(介護保険の内外)介護保険の施設・グループホーム+有料老人ホーム・サ高住・軽費老人ホーム・養護老人ホーム(建物の種類で数え、重複を除く)60,671

結果2:高齢者向けの入居系は10年で+39.8%、約6.1万に

介護保険の施設に、介護保険外の高齢者向けの住まいを加えると、高齢者が暮らす入居系の施設・住まいは2024年に60,671ありました。10年前の43,386から+39.8%増えています。

区分種類2014年2019年2024年10年の増減
(2014→2024)
介護保険の施設特別養護老人ホーム(特養)7,2498,2348,621+18.9%
地域密着型特養(定員29人以下)1,6912,3592,551+50.9%
介護老人保健施設(老健)4,0964,3374,214+2.9%
介護医療院—245917—
グループホーム12,49713,76014,341+14.8%
介護保険外の住まい有料老人ホームサ高住を除く。住宅型・介護付き・健康型9,63215,13418,460+91.7%
サービス付き高齢者向け住宅(サ高住)登録棟数5,0197,4488,318+65.7%
軽費老人ホームケアハウスなど2,2502,3192,331+3.6%
養護老人ホーム952946918-3.6%
介護保険の施設の計25,53328,93530,644+20.0%
介護保険外の住まいの計17,85325,84730,027+68.2%
高齢者向けの入居系 合計43,38654,78260,671+39.8%

※ 介護保険の施設は各年10月1日、有料老人ホーム・軽費老人ホーム・養護老人ホームは各年10月1日、サ高住は各年10月末時点。介護医療院は2018年創設。

伸びが大きいのは、介護保険外の住まいです。有料老人ホームは10年で約1.9倍、サ高住は約1.7倍になりました。介護保険の施設が+20.0%だったのに対し、介護保険外の住まいは+68.2%と大きく伸び、2024年には両者がほぼ同じ規模になっています。

有料老人ホームの内訳(厚生労働省老健局調べ、2024年6月30日時点)は、住宅型が12,668件(73.5%)、介護付きが4,559件(26.4%)、健康型が19件でした。住宅型の入居者は、介護が必要になると外部の訪問介護やデイサービスなどを利用して暮らしを続けます。

結果3:介護サービス全23種類の10年の推移

介護サービスの全23種類(介護予防を除く)について、10年間の推移は次のとおりです。区分は介護サービスの費用・料金の調査と同じで、区分の中は2024年の件数が多い順に並べています。

区分介護の種類2014年2019年2024年10年の増減
(2014→2024)
5年の増減
(2019→2024)
入所・入居グループホーム12,49713,76014,341+14.8%+4.2%
特別養護老人ホーム(特養)7,2498,2348,621+18.9%+4.7%
介護付き有料老人ホームなど4,4525,3285,969+34.1%+12.0%
介護老人保健施設(老健)4,0964,3374,214+2.9%-2.8%
地域密着型特養(定員29人以下)1,6912,3592,551+50.9%+8.1%
介護医療院—245917—+274.3%
地域密着型特定施設(定員29人以下)288352369+28.1%+4.8%
在宅デイサービス(通所介護+地域密着型)41,66043,89343,506+4.4%-0.9%
ヘルパー(訪問介護)33,91134,82537,264+9.9%+7.0%
ケアマネジャー(居宅介護支援)38,83740,11837,258-4.1%-7.1%
訪問看護7,90311,58018,042+128.3%+55.8%
ショートステイ10,25111,56611,933+16.4%+3.2%
デイケア(通所リハビリテーション)7,2848,3188,030+10.2%-3.5%
福祉用具の貸与7,9617,6517,736-2.8%+1.1%
福祉用具の販売8,0187,6307,605-5.2%-0.3%
小規模多機能型居宅介護4,6305,5025,478+18.3%-0.4%
ショートステイ(医療型・短期入所療養介護)5,3825,2304,799-10.8%-8.2%
認知症対応型デイサービス4,2533,9733,370-20.8%-15.2%
訪問入浴2,2621,7901,641-27.5%-8.3%
定期巡回・随時対応型訪問介護看護4711,0201,441+205.9%+41.3%
看護小規模多機能型居宅介護1645881,074+554.9%+82.7%
夜間対応型訪問介護217228226+4.1%-0.9%
全23種類の合計203,477218,527226,385+11.3%+3.6%

※ デイサービスは通所介護と地域密着型通所介護(2016年に分離)の合計。介護医療院は2018年創設のため2014年は「—」。看護小規模多機能型居宅介護は2014年時点の名称「複合型サービス」。ケアマネジャー(居宅介護支援)は在宅の区分に含めた。

10年で伸び率が大きかったのは、看護小規模多機能型居宅介護(164→1,074、+554.9%)、定期巡回・随時対応型訪問介護看護(471→1,441、+205.9%)、訪問看護(7,903→18,042、+128.3%)でした。看護と介護を組み合わせたり、定期的な巡回と随時の通報への対応を組み合わせたりするサービスと、在宅で医療的なケアを支える訪問看護が大きく増えています。一方で、訪問入浴(-27.5%)、認知症対応型デイサービス(-20.8%)、ショートステイ(医療型・短期入所療養介護)(-10.8%)、福祉用具の販売(-5.2%)、ケアマネジャー(居宅介護支援)(-4.1%)、福祉用具の貸与(-2.8%)は10年で減少しました。

結果4:認定者は5年で+8.0%、介護職員は+0.9%

施設・事業所の数、介護を必要とする人の数、介護職員の数を、2019年と2024年で比べました。

項目2019年2024年増減
施設・事業所数(介護サービス全23種類)218,527226,385+3.6%
要介護(要支援)認定者数668.1万人721.6万人+8.0%
介護職員数210.6万人212.6万人+0.9%

介護を必要とする人(要介護・要支援の認定者)は5年で約53.5万人増えた一方、介護職員は約2.0万人の増加にとどまりました。介護職員数は2022年の215.4万人をピークに、2023年に初めて減少し、2024年は2,126,227人(前年比+487人)とほぼ横ばいです。

年(各年10月1日)介護職員数
2019年210.6万人
2020年211.9万人
2021年214.9万人
2022年215.4万人
2023年212.6万人
2024年212.6万人

結果5:施設の利用率は9割前後、入所者の多くが重度

介護保険施設3種類の、2024年9月末時点の状況です。

施設の種類定員在所者数利用率定員に対する空き平均要介護度常勤換算
従事者数
在所者1人
あたり従事者
特別養護老人ホーム(特養)606,896573,65494.5%33,2423.92382,1180.67人
介護老人保健施設(老健)366,412323,05688.2%43,3563.15220,9230.68人
介護医療院53,37048,60091.1%4,7704.1833,5320.69人

利用率は、特養が94.5%、介護医療院が91.1%、老健が88.2%と、いずれも9割前後でした。定員に対する空きは、3種類の合計で81,368床です。特養の平均要介護度は3.92で、原則として要介護3以上の方が入所する施設として、重度の方の生活を支えています。介護医療院の平均要介護度は4.18と、さらに重度です。

※ 定員・在所者数・従事者数は推計値。在所者数・利用率は2024年9月末時点。空きは定員から在所者数を引いた数。従事者は介護職員以外(看護職員・機能訓練指導員など)も含む常勤換算の人数。

結果6:都道府県で、認定者あたりの施設・事業所数に1.8倍の差

介護サービスの全23種類について、要介護(要支援)認定者1万人あたりの施設・事業所数を都道府県別に集計しました。

順位都道府県施設・事業所数
(全23種類)
認定者数認定者1万人
あたり
—全国平均226,3857,216,462313.7
1位宮崎県2,61758,559446.9
2位沖縄県2,61764,993402.7
3位群馬県4,215107,647391.6
45位神奈川県12,952475,060272.6
46位東京都17,545678,241258.7
47位京都府4,409175,370251.4

※ 施設・事業所数は2024年10月1日、認定者数は2024年10月末時点。順位は認定者1万人あたりの数が多い順(47都道府県中)。

分析

分析1:介護職員1人が支える認定者は、5年で3.17人から3.39人へ

認定者数を介護職員数で割ると、職員1人あたりの認定者は2019年の3.17人から2024年の3.39人に増えました(+7.0%)。施設・事業所の数はおおむね維持・増加している一方で、そこで働く人が増えていないため、1人の職員が支える高齢者の数が増えていることになります。

厚生労働省の推計では、2040年度には約272万人の介護職員が必要とされ、2022年度から約57万人を上積みする必要があります(介護業界の労働人口の動向調査)。2022年をピークに職員数が伸び悩んでいる現状は、この目標との差が広がりつつあることを示しています。

分析2:介護保険外の住まいが急増した背景

結果2のとおり、有料老人ホームやサ高住など介護保険外の住まいは、10年で+68.2%と、介護保険の施設(+20.0%)を大きく上回るペースで増えました。厚生労働省の検討会資料(2025年10月)の分析をもとに、その背景を整理すると、次の点が考えられます。

  • 特養に入れない方の受け皿になっている:特養は原則として要介護3以上の方が入所する施設です。厚生労働省の資料でも、「特養に入れない軽度の方は、介護付きや住宅型が受け皿となっていると考えられる」と分析されています。
  • 重度の方の暮らしの場にもなっている:住宅型有料老人ホームでは、入居者に占める要介護3以上の割合が、2014年の48.87%から2024年には55.9%に増えています。軽度の方だけでなく、介護度の高い方を支える住まいとしても役割が広がっています。
  • 開設しやすい仕組み:有料老人ホームは都道府県知事などへの届出で設置でき、株式会社など設置主体を問いません。介護保険の施設とは異なる仕組みで整備が進められる点も、増加を後押ししていると推察されます。
  • 介護サービスとの一体運営:住宅型有料老人ホームの79.1%、サ高住の83.4%が、介護・医療サービスの事業所を併設・隣接しています。住まいと訪問介護やデイサービスを組み合わせて提供する運営が広がっていると考えられます。
  • 大都市圏で特に増加:2019年から2024年の有料老人ホーム・サ高住の増加率は、大都市圏(一都三県、大阪、愛知、福岡)で22%と、全国平均の17%を上回っています。

※ 割合・増加率は、厚生労働省「有料老人ホームの現状と課題について」(2025年10月3日)に掲載された数値。背景の整理は当社による推察を含みます。

分析3:施設を増やすだけでは、人手不足は解決しない

結果5のとおり、介護保険施設の利用率は9割前後で、入所者の多くは重度です。また結果2のとおり、介護保険外の住まいは10年で大きく増えましたが、そこで暮らす方が介護を必要とすれば、支えるのは外部の訪問介護やデイサービスの職員です。施設や住まいを新たに増やしても、そこで働く職員を確保できなければ、受け入れられる人数は増えません。介護の人手不足は、「場所」ではなく「人」の不足として表れていると考えられます。

限られた人数で、増え続ける高齢者を支えるには、一人ひとりの職員の負担を減らし、気づきや判断を助ける仕組みが欠かせません。

この調査から見えること

今回の集計から、3つのことが確認できました。

ひとつは、介護の現場は全国に延べ32.0万の施設・事業所として広がり、高齢者向けの入居系の施設・住まいも60,671にのぼることです。特に有料老人ホームやサ高住など介護保険外の住まいが10年で+68.2%と大きく伸び、訪問看護のように10年で2倍以上になったサービスもあります。

もうひとつは、介護を必要とする人は増え続けているのに、介護職員は増えていないことです。5年で認定者は+8.0%、職員は+0.9%。職員1人が支える認定者は3.39人になりました。

そして、施設の入所者の多くが重度であることです。介護保険施設の利用率は9割前後で、重度の方を中心に受け入れています。現場の一人ひとりにかかる負担は、数字の上でも重くなっています。

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出典